ゲームはカルチャーの中心となる?
3月以降「買いたいのにゲームが売っていない!」という声を耳にする機会が増えました。
その理由はもちろん、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言によるゲームの需要急増(と中国での生産数減少)。『ファミ通』によると、3月の国内家庭用ゲーム機売り上げは、Nintendo Switch、PS4ともに前月比で2倍以上となったそうです。どちらのゲーム機も発売から数年が経過しているハードだけに、ここに来ての人気ぶりには驚かされますね。
そんな破格の盛り上がりを見せるゲームですが、この流れは単なる“巣ごもり需要”で終わらず、音楽や映画といったカルチャーから、観光、ECまで、幅広い分野と結びついて“未来”を作るのではないかと予想されています。
エンターテインメントとコミュニケーションの交差点になるであろう、ゲームの現在と未来について考えてみましょう。
「ゲームで遊ぶ」のではなく、ゲーム自体が「遊び場」になった
『あつまれ どうぶつの森』と『フォートナイト』。この2つがコロナ禍におけるゲーム人気を象徴するタイトルであるのは間違いないでしょう。
無人島での暮らしを楽しむ『あつまれ どうぶつの森』は、外出自粛やロックダウン下でのストレスフルな生活に対し、優しい世界観やささやかな変化、そして離れた友人や家族とのコミュニケーション機会をもたらしてくれるゲームとして人気が爆発。もとから人気タイトルではありましたが、発売から6週間で1300万本以上を世界中で売り上げ、大ヒットとなりました。
そんな『あつまれ どうぶつの森』人気に伴い、マーク・ジェイコブスやアナ・スイなどのファッションブランドが新作をゲーム中衣装として配布したり、メトロポリタン美術館や三菱一号館美術館が収蔵作品を提供したりと、ゲーム世界でのマーケティングも展開されるようになったのも記憶に新しいところです。
そして、ネットワークで繋がった数十人から100人規模のプレイヤー同士がバトルを繰り広げ、たった一人の勝者を目指す。そんなバトルロイヤル系ゲームとして世界中で人気を誇る『フォートナイト』も、明らかにコロナ禍でその存在感を爆増させました。
そのきっかけは、“バトルロイヤルゲームなのにバトルしない”モードである「パーティーロイヤル」の導入。
まるでテーマパークあるいはフェス会場のような世界を自由に移動しながらミニゲームを遊んだり、コミュニケーションしたりして過ごすこのモードは、外出自粛やロックダウンで隔離されたプレイヤーの部屋を拡張するかのように、新たな“コミュニケーションハブ”として機能するようになったのです。
また、決定打となったのは、ラッパーのトラヴィス・スコットが『フォートナイト』内で行った新曲発表を兼ねたライブです。
世界中のコンサートやフェスが中止あるいは延期に追い込まれる中、ゲーム内に超巨大なトラヴィス・スコットが登場してど迫力のパフォーマンスを行ったこのイベントには、約1200万人が参加。新時代の到来を予見させるエポックメイキングな出来事として各分野で大きな話題となりました。
さらに、その後『フォートナイト』では、パーティーロイヤル内に設置された巨大スクリーンで、クリストファー・ノーラン監督による新作映画『TENET テネット』の予告編もプレミア公開。
振り返れば2012年7月、新宿のバルト9の壁面を使い『ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q』の最新予告編が初公開され、劇場公開日が発表されるイベントがありました。
あれから約8年後、まさかゲーム内で人々が集まることになるとは…という感じです。
さて、ここで整理すると、『あつまれ どうぶつの森』と『フォートナイト』に共通するのは「ビッグタイトルが遊び場を提供した」という点。
つまり「単なるゲーム(遊び)ではなく“場所”として扱われるようになった」ということが重要なのです。
ゲームはなぜメタバース(仮想世界)として機能しやすいのか
ZOOM飲み会や動画配信と比べ『あつまれ どうぶつの森』と『フォートナイト』での遊びやコミュニケーションが真実味を持ち、情報量豊かに感じられるのはどうしてなのでしょうか?
ここで注目すべきは、たくさんのプレイヤーが参加しているビッグタイトルであること、そしてプレイヤーが没入しやすいゲームであることです。つまり、プレイヤーがキャラクターを介してゲームの世界に入り込んでおり、リアリティレベルがゲームの中のそれに調整されているからです。
現実的に考えてみれば『フォートナイト』の画面内に登場する3DCGのトラヴィス・スコットは(よほど大きなスクリーンに投影しない限り)実在の人物よりも小さく、ライブ会場の規模や音響だって現実のコンサート会場よりは遥かにちっぽけなものです。しかし、ゲームプレイ中のプレイヤーが持つリアリティレベルは、作品内のそれに調節されているため、ゲーム内のトラヴィス・スコットのあまりの巨大さに驚かされ、その衝撃をゲーム中で他プレイヤーと共有し、感動を増幅させるのです。
古参のネットユーザーならば、2000年代に話題となったメタバース『セカンドライフ』を思い出す人もいるかもしれません。しかし「儲かる」という評判をきっかけに、“乗り遅れまい”という空っぽのブームを生んだ『セカンドライフ』に対し、『あつまれ どうぶつの森』や『フォートナイト』にはゲームプレイを通して“その世界を楽しむこと”を前提に人が集まっているという点で大きく異なります。
汎用メタバースを実現させたものが、次の覇権を握る?
そんな『あつまれ どうぶつの森』や『フォートナイト』の世界がプラットフォームとして広く開放され、誰もがそこにお店を持ったり、作品発表の場として活用したりできるようになったら、どうなるでしょうか?
インターネットブラウザに表示される四角いバナー広告に比べ、ゲーム世界に掲出される広告がリアリティーを持つようになるとしても、なんらおかしくありません。
つまり、メタバースを制するものが次のGoogleやFacebook、Amazon、あるいは三井不動産のようなポジションになるかもしれないのです。
実際にGoogleやFacebook、Samsungはメタバース構築に取り組んでいるとされていますが、ある程度の公共性がなければ、メタバースの発展は各国政府の法令によって制限されることが予想されます。
そこで考えられるのが、共通の「ゲームエンジン」を使ってメタバースのベースを構築しながら、各エリアが運営企業によって法令に準じながらアレンジされるような方式です。
ゲームを超え、”世界”を作るシステムになろうとしている「ゲームエンジン」
ゲームソフト一本を作るためにいちからプログラムを組み、グラフィックを描いていた時代と違い、現代のゲームは非常に複雑かつ緻密なものとなっています。そうした開発を手助けするツール/開発環境が「ゲームエンジン」です。
現在、ほとんどのゲームはこの「ゲームエンジン」を使って制作されており、「Unity」と「Unreal Engine」が業界を2分しています。
その中でも高度なグラフィック表現が売りの一つである「Unreal Engine」は、ゲームのみならず、NASAやFBI、建築事務所、そして映画制作現場でも活用されるまでになっています(ちなみに『フォートナイト』は「Unreal Engine」の開発元であるEpic Gamesの製品で、当然「Unreal Engine」を使用して作られています)。
映画制作における「ゲームエンジン」の存在感は爆増中。従来はプリヴィズと呼ばれるビデオコンテ用のCG描画や、撮影セットのシミュレーションといった裏方が「ゲームエンジン」の仕事でしたが、その進化に伴い、現在は完成版の映像にも多く取り入れられるようになっているのです。
そんな流れの中、注目すべきは「バーチャルセット」。
「バーチャルセット」とは、映画の舞台をすべて「Unreal Engine」を用いてCGで描き、撮影セットに巨大スクリーンを設置してCGを表示させ、その中で役者が演技をするというもの。突飛なアイディアに思われるかもしれませんが、すでに実用段階どころか、2019年の大ヒット作となった『マンダロリアン』(『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマ)においては、約半分のシーンがこのバーチャルセットで撮影されたと言われています。
撮影クルーを大幅に削減することができ、撮影時間帯や天候に左右されることなく撮影が進められ、さらには密となりがちな撮影スタジオの問題にも対応可能。この利便性を考えると「バーチャルセット」は今後さらに普及することは間違いないでしょう。
マサラタウンが世界一の観光地となる未来
ゲームだけでなく、映画やドラマの世界も「ゲームエンジン」で作られ、メタバースもそれと同じ仕組みで動くとしたら?
それは“ゲームを通して、映画やドラマの世界に行けるようになる”ということでもあります。映画のセットを現実に再現したテーマパークではなく、正真正銘“本物のロケ地”に、です。なぜなら、CGこそが本物だから。
2021年にリリース予定の次世代ゲームエンジン「Unreal Engine 5」は、映画レベルのCGを家庭用ゲーム機で実現可能にするといわれています。
2020年発売予定のPS5でこのレベルのCGが実現可能となるだけでも凄いのですが、「メタバース」の観点から注目したいのは、他のゲーム機や、スマホやタブレットといった下位機種で動作させる場合に自動的にデータや描画が最適化されるため、作り直しの手間がなくなる点。
これは大作ゲームのマルチプラットフォーム対応だけでなく、広くユーザーを集める必要があるメタバースの実現にも大きく寄与することでしょう。
近い将来、ゲームやアニメ、映画の世界を観光するだけでなく、その土地を買い、そこに家を建てることだってあるかもしれません。もしそうなったとしたら、ミッドガルのスラム街、マサラタウン、ゴッサムシティ、第3新東京市など、人気タイトルの人気スポットは高額で売買されることになることでしょう。
その一方で、『龍が如く』の神室町(新宿歌舞伎町をモデルとした街)や、バーチャル渋谷のように、現実の街を精巧なCGで再現するケースも増えるかもしれません。
もちろんクリアすべき問題は多々ありますが、世界中の人々が持つ無数のテイストが共通のゲームエンジンの上に再現されるなら、これまで一同に集まることがなかった人たちが参加するメタバースが実現できる可能性が十分にあります。そこには映画やドラマ、アニメ、ゲーム、音楽などの数限りない入り口が設けられるのですから。
そしてそこに数々の企業がサービスを提供し、映画『サマーウォーズ』のOZのように行政手続きも可能となったら…?
数年前まではこんな考えは妄想でしかありませんでした。
しかし、2020年、一気に時代は動きました。もはやこれは絵空事ではなく、数年後の現実となっているかもしれません。
少なくとも数々の企業がその実現に向け、現実に動き出しています。
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June 08, 2020 at 06:00PM
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