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3Dプリンターはボタン1つでものづくりが完了するように見えるものの、実際は面倒な後処理がつきものだ。その1つが造形物を支える「サポート」の除去。ドイツEOSは金属3Dプリンティングのサポートを大幅に減らせる技術「Smart Fusion」を開発した。造形物内部のサポートを9割以上減らせるほか、ドーム型の屋根をサポートなしで造形できる。結果的に造形時間が半減した事例もあった。2023年夏をめどに同技術の本格提供を開始する。
世界最大級の3Dプリンティングの展示会「Formnext 2022」(2022年11月15~18日、ドイツ・フランクフルト)に出展したEOSは、ブースの一角に「kNOw SUPPORTS」と書いた壁を設けた。その前に並ぶのは、Smart Fusionを活用しながら同社が手掛ける粉末床溶融結合(PBF)方式の金属3Dプリンターで造形した幾つもの部品だ。
その中でもEOS日本法人でリージョナルマネージャーを務める橋爪康晃氏が「私も驚いた」と語ったのは、米国の航空宇宙会社Launcherと造ったロケットエンジン用の推進剤タンクだ。俵型のタンクの内部にサポートを全く設けることなく、中空形状を実現している(図1)。
一般的に積層造形では、突き出た部分を指す「オーバーバンク」が垂線(積層方向)に対して45°以上せり出すとサポート材で支える必要があるとされる。例えば3Dプリンターでアルファベットの「Y」を造るなら斜めの棒を支えるサポート材が必要になる可能性が高く、「T」を造るなら確実に横棒を支えるサポートが必要になるといったイメージだ。サポート材には材料が重力などで崩れないようにするほか、残留応力による変形を防いだり、加熱後の材料から熱を逃がしたりする役割がある。
EOSが展示した推進剤タンクの上部はドーム状で、積層方向から45°以上せり出している。通常はタンク内部にサポートが必要なところをSmart Fusionによって不要にした。後処理の手間を省くだけでなく、サポートを造形する時間が減らせるため「造形時間を大幅に短縮できた」(同社)という。
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