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家賃猶予、各国動く 廃業防止へ公的支援(写真=AP) - 日本経済新聞

欧米など各国が新型コロナウイルスで打撃を受けた個人や事業者の家賃の支払い猶予に向けた対策を急いでいる=AP

欧米など各国が新型コロナウイルスで打撃を受けた個人や事業者の家賃の支払い猶予に向けた対策を急いでいる=AP

欧米など各国が新型コロナウイルスで打撃を受けた個人や事業者の家賃の支払い猶予に向けた対策を急いでいる。未払いによって廃業や立ち退きに至るケースが増えれば、コロナの収束後の経済のV字回復がおぼつかなくなるためで、家主への補助を通じた賃借人の負担軽減の取り組みも相次ぐ。日本の取り組みは不動産所有者への協力要請にとどまっており、法整備など政府主導の対策が求められそうだ。

各国で目立つのは支払い猶予に向けたすばやい法制化の動きだ。米国は3月27日に成立させた経済対策法に個人や企業は家賃を滞納しても120日間は延滞料を徴収されないと規定。この期間が終了後も、家主は通知して30日内の立ち退き要求ができないようにした。

英国では3月25日に成立したコロナ関連法で、6月30日まで家賃未払いを理由とした家主による退去要請を禁止した。ドイツ政府は3月、家賃滞納による解約を禁止し、4~6月分の家賃に限って2年間支払いを猶予するルールを定めた。

オーストラリア政府も7日、家賃滞納による契約終了や、未払いに伴う手数料と利息の徴収を禁じると発表した。今後、立法措置で法的拘束力を持たせる。シンガポール政府も企業や個人事業主に最大6カ月の家賃の支払い猶予を与える措置を決めた。

家賃の支払い猶予で打撃を受ける家主側への支援策も相次ぐ。米国では家主が保有物件の住宅ローンを払えなくても、3月18日から60日間は金融機関から差し押さえられないとする規定を導入。金融機関に返済の6カ月延期を求めることができるようにした。その後、6カ月の延長も可能で、合計で最大1年は支払いを先延ばしできる。

シンガポール政府は商業用不動産に課す今年分の固定資産税について、最大で全額を払い戻す方針を決めた。不動産の家主である企業には、払い戻し分を賃料と相殺するなどして、借り手に還元するよう義務づけた。借り手に還元しない家主には罰金を科す。

各国が対応策を急ぐ背景には、家賃の未払いによる廃業や立ち退きが増えれば、コロナ収束後の経済の低迷が長引きかねないとの危機感がある。特に米国では個人や中小事業者の収入に占める家賃の割合が他の先進国に比べて大きく、滞納状態に陥りやすい。

2008年の金融危機では全米で数百万人が住宅ローンを払えず家を失い、倒産も急増。その後の景気回復の大きな阻害要因となった。米国の中小企業の5割は15日分以下の運転資金しか持っていないとされ、今回の危機でも延滞が急増しているとみられる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは米国の中小企業の半数が4月分の家賃や住宅ローンを完納していないとする民間調査機関の推計を報じた。

各国では猶予期間が不十分だとの批判も出ている。市民や企業の一部からは「収入が絶たれているのに債務を繰り延べされても支払いきれない」(ロンドンの中小企業者)との声も上がる。申請の手続きも煩雑さが指摘され、猶予を認めるか金融機関の裁量が大きいケースもある。

こうした不満も背景に、ドイツでは家賃の支払いなどに苦しむ小規模の自営業者を対象に最大1万5千ユーロ(約180万円)をスピード給付する制度を導入した。オンラインでの迅速な申請処理によりすでに支給件数は15万を超えた。他の欧州各国でも同様の動きが広がりつつある。

(ワシントン=鳳山太成、ベルリン=石川潤、シンガポール=中野貴司)

■日本は要請どまり 法制化求める声

新型コロナウイルスの感染拡大や政府の外出自粛要請を受け、日本の飲食店やサービス事業者も売り上げの急減と賃料負担が続くことに焦りを強めている。

新潟県を本拠とする居酒屋チェーンは3月から東京・大手町の店舗で客足が目に見えて減った。不動産会社に2~3割の賃料引き下げを求めて拒否された。新型コロナの終息後、それまでの引き下げ分を賃料に上乗せするという条件で再交渉を求めることにした。

東京・渋谷区の美容院は3月中旬から利用者が急減し、店を開けても赤字が膨らむだけなので、4月8日から臨時休業に入った。無収入が続くため、店舗のオーナーに賃料の支払い猶予を訴えたが、承諾の返事はない。店主は「この状況が1カ月以上続けば、店は潰れる」と悲鳴を上げ、「法律で猶予を認めると決めてほしい」と訴える。

国土交通省は3月末、不動産関連団体を通じ、新型コロナの影響を受けて賃料の支払いが難しい事業者に対して、ビルの所有者が支払い猶予に応じるなど柔軟な対応を検討するよう要請した。

もっとも、欧米各国のように法制化した場合と異なり、猶予を受け入れるかどうかは所有者の判断次第だ。イオンモールなど大手の商業施設の間では店舗の賃料を減免する動きが出てきた一方、資金力の乏しい中小や個人のオーナーは減免も猶予もためらいがちだ。

国民民主党の玉木雄一郎代表は11日、ツイッターで「不動産オーナーや大家も厳しい状況にあり、実効性は期待できない」と指摘した。

玉木氏は要請ではなく、法律で定めなければ支払い猶予は広がらないと強調。「家賃の支払い猶予を法的に可能にする『家賃支払いモラトリアム法案』の策定を検討したい」と書き込んだ。

日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は玉木氏のツイッターに「同意する。今国会中に法案を成立させてほしい」と投稿した。

国民民主党は不動産所有者の負担も考え、支払い猶予に応じた場合、政府系金融機関などが融資すると法案に盛り込むことを検討している。

政府も税制面などで所有者に配慮し、減免や猶予に応じやすくする。

菅義偉官房長官は13日の記者会見で、賃料の引き下げや支払い猶予に応じた中小賃貸事業者の固定資産税を最大で全額免除する考えを示した。「2~10月までのいずれかの3カ月の売り上げが前年比で半減した場合は、来年度の固定資産税を全額免除する措置を経済対策に盛り込んだ」と述べた。

失業で家賃が支払えなくなった人に対しては、家賃を補助する「住居確保給付金」制度がある。厚生労働省は20日から補助の対象を収入の減少で支払えなくなった人にも広げるが、地域別の補助の上限や原則3カ月という期間の限定がある。

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April 14, 2020
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