Illustration: Derplan13/Shutterstock, Alona Stanova/Getty Images, Design: Business Insider Japan編集部
「英語学習には興味があるけれど、なかなか上達しなくてやる気をなくしてしまう」「楽しくないので長続きしない」……あなたもそんな経験はないだろうか。
この新連載では、海外映画やドラマを楽しみながら、かつ英語学習にも活かす方法をご紹介。ナビゲーターはAI英語学習アプリ「abceed(エービーシード)」を運営するGlobee代表の幾嶋研三郎さんだ。毎回1つの作品を取り上げ、ビジネスパーソンがすぐに活用できるフレーズも教えてもらう。
この週末はあなたもおすすめ作品にどっぷりハマりながら、英語学習に挑戦してみてはいかがだろうか。
英語学習成功の秘訣は好きなコンテンツ探しにあり
はじめまして、幾嶋研三郎です。
幾嶋研三郎さんが代表を務めるGlobeeでは、英語学習アプリ「abceed」を手がけている。
Globee提供
現在は英語学習アプリを提供する会社を経営している私ですが、もともと英語を話せたわけではありませんでした。大学受験では特に英語に力を入れていたにもかかわらず、大学に入ってみると周りのネイティブスピーカーが話す簡単な英語さえ聞き取ることができなかったのです。
しかし、英語ができなかった私が約1年間で英語を習得した方法があります。
それが、この連載テーマでもある「自分の好きな海外映画やドラマを視聴しながらの英語学習方法」でした。
なぜ私が短期間で挫折せずに英語学習を続けられたのかを思い返してみると、自分の興味関心がある分野を題材にして英語学習をしたことが大きな要因だったと感じています。
「好きなことに熱中している人には勝てない」というのは、スポーツ、ゲーム、勉強、仕事のすべてにおいて言えることです。英語学習においても、自分の好きなものを題材として学んでいくだけで苦痛なく続けることができると思っています。
また、映画やドラマなどから英語を学習するメリットも多く存在します。
例えば日本人の多くは生きた英語に接する機会が圧倒的に少なく、ネイティブの発音に触れる機会があまりありません。しかし映画やドラマを通して学習することにより、生きた英語に触れることができます。
ちなみに私は、映画やドラマの他に2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスティーブ・ジョブズのスピーチを何百回も繰り返し再生し、発音の練習を通してリスニング力を鍛えていました。
この連載では、エンタメコンテンツを活用しながら英語学習をした私の実体験をもとに、毎回ビジネスパーソンにおすすめの映画を1作品選び、実際にビジネスシーンで活用できる英語のフレーズなどをご紹介していきます。
1作品でも自分の好きな作品に出会えたら、あとはその作品をひたすら繰り返し視聴して学習していきましょう。
繰り返し同じ作品で英語学習をしていると、ある時から英語が聞き取れるようになり、会話やフレーズが自分でも発音できるようになってくるのを実感できるかと思います。
ビジネスパーソンにおすすめ『アイアンマン』
いまや動画配信サービスの選択肢はNetflix(ネットフリックス)やHulu(フールー)をはじめ数多くありますが、直近で話題になっているのは、今年3月1日から新たに「Disney+(ディズニープラス)」でシーズン3がスタートした『スター・ウォーズ』ドラマシリーズ『マンダロリアン』です。
日本でも高い人気を誇り、面白いストーリー性や可愛いキャラクターのグローグーに魅了されている方も多いのではないでしょうか。
このドラマの制作・脚本・監督を手がけているのがジョン・ファヴロー。ファヴローは『マンダロリアン』の他にも『スター・ウォーズ』ドラマシリーズ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』などの作品を生み出しています。
そんなファヴローですが、これまでにも多くの人気作品を手がけてきました。有名どころで言うと、2008年に公開された『アイアンマン』という作品です。
『アイアンマン』は、マーベル・コミックの同名キャラクターをベースにしたアメリカのスーパーヒーロー映画で、全世界での興行収入は約5億8000万ドル超え、第81回アカデミー賞では2部門にノミネートされた人気作品です。
そこで今回は、今年で公開15周年を迎える『アイアンマン』を素材にして、ビジネスパーソンにも役立つフレーズをご紹介しましょう。
『アイアンマン』のストーリー
アフガニスタンで自社兵器のデモ実験に参加した主人公のトニー・スターク(ロバート・ダウニー Jr.)は、テロ組織に襲われ拉致されてしまう。胸に深い傷を負い捕虜となった彼は、組織のために最強兵器の開発を強制される。トニーは、装着することで圧倒的な破壊力とパワーを発揮できる戦闘用パワードスーツを敵の目を盗み開発、敵地からの脱出に成功する。しかし奇跡的に生還したトニーは、自らが社長を務める会社が開発した兵器がテロ組織に使用されていたことを知り、愕然とする。トニーはその償いをすべく、テロ組織に立ち向かう。
『アイアンマン』の難易度は英検2級レベル
『アイアンマン』の再生時間は2時間6分、総語数9912語、センテンス数1636、フレーズ数は1758です。
リスニング難易度の指標の1つであるWPM(1分あたりのワード数)で比較すると、ネイティブの会話は約160台、早口の人だと約200台、TOEICは平均150台なのですが、『アイアンマン』の会話部分は平均118台のため、難易度は比較的優しく初心者にもおすすめの作品です。
アクションシーンではない部分の会話は速い傾向にあるので、リスニング学習にもおすすめ。TOEIC®︎の難易度で表すと730点程度、英検®︎だと2級レベルの学習者のリスニング学習に最適です。
この映画は王道のヒーローアクションものでありながら、英語表現は実用的なものも多く、ビジネスパーソンに役立つ内容が多く出てきます。
以降では、実際のフレーズを少しご紹介します。
活かせる映画フレーズ
フレーズ1「take away」
天才発明家であり、兵器製造業を手がける主人公トニー・スターク(ロバート・ダウニー Jr.)は、アフガニスタンでのテロ攻撃によって囚われの身となり、自身の作った兵器が使われていることを目の当たりにします。
脱出に成功したトニーは帰国後の記者会見で、兵器製造を中止するという突然の発表をして場を騒然とさせます。副社長のオバディア(ジェフ・ブリッジス)が記者に対して、急な発表により混乱した場を落ち着けようと述べているシーンのフレーズです。
“What we should take away from this is that Tony’s back!”
「何にせよトニーは戻った。それが大事なことだ」
ここでのポイントは、句動詞「take away」。「〜を学ぶ、〜の要点を得る」という意味になり、ビジネスシーンで汎用的に使えるフレーズです。
take awayはファーストフード店などの「お持ち帰り料理」の意味で主にイギリスで使われていますが、会議やセミナーでは、「持ち帰るべき重要な点、結論」という名詞として使うことも可能なため、覚えておくと非常に便利です。
ここでビジネスパーソンが日常的に使える使用例を2つ挙げてみます。
“If there’s one thing I’d like you all to take away from today’s meeting, it’s the importance of effective communication in our team.”
「本日のミーティングで皆さんに伝えたいことが一つあるとすれば、それはチーム内での効果的なコミュニケーションの重要性です」
次は、名詞の「takeaway」の使用例です。
"The main takeaway from the conference was that AI is expected to increase efficiency in almost every industry."
「会議の要点は、AIがほぼすべての産業における効率を向上させることが期待されていることでした」
このようにビジネスシーンにも多く出てくるtake awayをぜひ覚えてみてください。
フレーズ2「Just because A doesn't mean B」
次は、副社長オバディアが経営会議の後にピザを手土産にトニーの元を訪れた際に、「会議がうまくいかなかったのか」と聞くトニーに対して、オバディアが応答するシーンのフレーズです。
“Just because I brought pizza back from New York doesn't mean it went bad.”
「ピザをニューヨークから持ち帰るとこじれた証拠か?」
この訳については少し補足が必要かもしれません。まずこの一文を直訳すると、次のようになります。
【直訳】私がニューヨークからピザを持ち帰ったからといって、会議がこじれたというわけではない。
そこから文意を汲んで意訳すると——
【意訳】ニューヨークからピザを持ち帰っただけで、会議がこじれたと判断しないでほしい(話はこれからだ)。
このシーンの解説としては、オバディアは会議がうまくいかなかったときにはいつもピザを買ってくる傾向があり、主人公トニーはピザを見ただけで「会議がうまくいかなかったのか」と尋ねましたが、「ピザと会議は関係ない」とオバディアが言っている場面です。
ここでのポイントは、“Just because A doesn't mean B”「AであるからとってBということにはならない」という構文です。
この構文のAとBにはそれぞれ完全な文、つまりSVOC(主語、動詞、目的語、補語)などの文の要素が揃ったカタマリを使います。つまり、以下の2つのパーツは共に名詞や動詞句などではなく、文の形が入るということです。
A:I brought pizza back from New York.(私はニューヨークからピザを持ち帰りました)
B:it went bad.(会議はうまく行きませんでした)
こちらも日常的にビジネスパーソンでも使える使用例を挙げてみます。
"Just because we're a smaller company with limited funding doesn't mean we can't make a big impact."
「弊社が比較的小規模で資金が限られているからといって、大きな影響を与えることができないわけではありません」
このようにビジネスシーンでも汎用的に使えるフレーズですので、ぜひ覚えておくことをおすすめします。
おすすめの映画学習
最後に、映画を使って英語学習をする際のおすすめの流れを簡単にご紹介しておきましょう。
まずは、日本語でもよいので、映画を純粋に鑑賞し、楽しみながら内容を理解してみてください。次に、2回目以降は、英字幕も活用しながら、英語を聞くことに集中します。
そうすると、完全に聞き取れるシーンと、少し聞き取りが難しいシーンが出てくるはずです。そこでフレーズをリスト化し、復習したい箇所を洗い出してみましょう。
特に、聞き取れたフレーズについては、完璧に理解した状態で、声に出してリピートできるようになるまで繰り返し学習してみましょう。易しいシーンから取り組むことで、成功体験が得られ、学習の継続につながりますよ。
今回ご紹介した『アイアンマン』はabceedでも配信中です。日英同時字幕での視聴が可能なほか、フレーズに含まれる単語やセンテンスについての解説も充実していますので、映画を使っての英語学習にぜひ役立ててみてください。
幾嶋研三郎:株式会社Globee 代表取締役社長。2015年3月に慶應義塾大学法学部卒業。2014年6月、大学在学中に株式会社Globeeを創業。英語学校の運営を通して、IT×英語教育の可能性を感じ、現在は『学習量×学習効率の最大化』をミッションとしたAI英語学習アプリ「abceed」(現在登録ユーザー数300万人を突破)と、『学習支援効率の最大化』をミッションとした反転学習プラットフォーム「abceed for school」の開発を行う。
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