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「あれ、どう思います?」
「あれですよね」
こんな会話が1カ月間、ずっと続いている。しかも、隙間時間や休憩時間に。「あれ」とは「ChatGPT」のことだ。サプライチェーン関係者には好奇心を持つ人が多いためか、実際に使ってみたり、有料プランに入ったりしているケースも多い。
ChatGPTについて改めて説明は不要かもしれないが、米OpenAI(オープンAI)が発表した人工知能(AI)で、「GPT-4」というアプリケーションを基に開発されている。それをチャットで実装しており、質問した内容について何でも答えてくれる。
実際にはインターネット空間に存在するテキストデータを学習し、それっぽい回答を返してくれるシステムだ。人間と同じような知能を持つというよりも、単語を確率論的に計算し、質問に対して作文する。ただ、その精度の高さや適切さから世界中を魅了している。これを何かビジネス領域に使えないか、と考えるのは当然のことだろう。
実際にERP(統合基幹業務システム)などのベンダーはAIを搭載すると相次いで発表している。米Microsoft(マイクロソフト)も検索エンジン「Bing」だけではなく、「Microsoft Dynamics 365 Copilot」を通じてAI機能を利用可能にすると発表した。米Salesforce(セールスフォース)なども同様だ。
サプライチェーンに特化したAI機能というわけではなく、会議の議事録の要約や、他者に送付するメッセージの作成などの機能を主な対象としている。とはいえ、ERPやCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)のツールやシステムでは近年、技術的なブレークスルーがなかったし、新たに登場した対話型AIは機能強化には格好の題材になっている。
サプライチェーンでChatGPTを使うとしたら
例えば、特定地域の天候が悪化したり、災害の可能性が高まったりする。そうすると、取引先に対して生産の不順を懸念するメールを自動で送付できる。他の潜在的なリスクについても、指摘するメールを取引先に送付できるかもしれない。納期遅延の心配がある取引先にアラートを出せるかもしれない。
これまでもデータを分析し、サプライチェーン関係者に警告を出すことはできた。しかし、それを自然な文章で具体的に文書化し、取引先に送って関与させるようなことは難しかった。それがChatGPTなどの新AIツールによって実現可能になったのだ。
さらに「諸外国のニュース記事を分析させる」という使い方が、現実に想定されるようになっている。現在、ChatGPTは既に学習したある一定期間の情報を基に動いており、リアルタイムに学習しているわけではない。ただ、それが日々のニュースまでを分析できるようになったらどうか。
実際に、スパイはどこの国でもインテリジェンス活動に現地のメディア情報を使っているといわれる。つまり、スパイといえども大半の情報ソースは公開されているメディア情報なのだ。これらの情報をインテリジェンス部隊が分析するのではなく、AI≒ChatGPTが読み込んで分析する可能性はあるだろう。
公開情報を分析することで、地政学リスクや財務リスクなどが分かる。そしてあり得るリスクシナリオを作成し、取引先に伝達する。
筆者は本業で、企業のサプライチェーン部門に対してコンサルティングを行っている。ある時期、筆者は各社に「これから地政学が重要になるのだから、サプライチェーン部員に業務時間の一部を地政学の分析に費やしてもらったらどうか」と提案していた。専任人員を配置してもよい、と。しかし、それはAIの進化時代においてはあまり意味のないアドバイスだったのかもしれない。
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