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昆虫×フロンティア:/1 小さな羽に、広がる宇宙 「名人」ハサミムシ収納術、月面応用へ - 毎日新聞

ハサミムシの羽の構造と折りたたみ方法を応用した太陽電池パネルの模型について説明する九州大大学院の斉藤一哉准教授=福岡市南区の同大学で2023年8月31日午前11時37分、栗栖由喜撮影
ハサミムシの羽の構造と折りたたみ方法を応用した太陽電池パネルの模型について説明する九州大大学院の斉藤一哉准教授=福岡市南区の同大学で2023年8月31日午前11時37分、栗栖由喜撮影

 爪の先ほどの大きさの硬い羽の下から現れた虹色の薄い羽は1円玉大ほどに広がり、空気をつかむように上下に動き出した。九州大大学院芸術工学研究院の斉藤一哉准教授(42)が8年の挑戦の末にハイスピードカメラで撮影した、全長約1・5センチのハサミムシが飛び立つ様子だ。羽を持つ昆虫はあまたいるが、ここまでコンパクトに羽を折りたたむ技術を持つ虫は他にない。その謎の解明の先にあるのは、そう、宇宙だ。

 航空宇宙工学を専攻していた斉藤さんは、人工衛星や宇宙探査機に適した材料や構造について研究し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究員の経験もある。大型の構造物をロケットに搭載して運ぶには、スペースを取らずに簡単に収納でき、宇宙空間では瞬時に展開できる機能性が重視される。東京大の助教時代に、自然界にある折りたたみ構造に着目したことが、昆虫の羽の研究を始めるきっかけとなった。

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