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世界初、光の配光角を制御できる深紫外LEDの開発に成功|2023年 ... - 情報通信研究機構

ナノ光構造技術

光の波長(数百ナノメートルオーダー)以下の微細構造を駆使した光の位相制御技術。ナノメートル(nm)とは、10億分の1メートルを表す単位。
今回開発した深紫外LEDでは、ナノオーダーの寸法で設計された位相型フレネルゾーンプレート構造を用いてLED活性層から放射される深紫外光の位相の制御を行った。


配光角

放射される光の広がり方を数値で示したもの。数値が小さいほど狭角、大きいほど広角に広がることを表す。


オプティクスフリー

レンズ等の光学部品を用いないこと。


深紫外LED

深紫外(Deep Ultraviolet: DUV)波長領域の光を発する半導体発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)。

特に、UV-Cとして分類される波長280 nm未満の深紫外光を発する深紫外LEDは、殺菌、水や空気の浄化、医療機器、通信・センシング応用等、様々な分野で新たな市場創出が期待されている。

波長280 nm未満の深紫外光は、オゾン層で全て吸収されるため、280 nm未満の太陽光は地表には降り注がず、ソーラーブラインド領域とも呼ばれる。そのため、太陽光による背景ノイズの影響を受けない光信号の送受信が可能となる。

また、生物のDNAやRNAは、自然界には存在しない280 nm未満の光に対して強い吸収構造を持つ。この特性により、深紫外光を使えば、塩素等の薬剤を用いずに、細菌やウイルス等を効果的に殺菌・不活性化できる。

従来、深紫外波長領域の光源としては、主に水銀ランプが用いられてきた。しかし、水銀ランプは、人の健康や環境に有害な水銀を含み、2017年発効の「水銀に関する水俣条約」により、その廃絶に向けた国際的な取組が加速している。深紫外LEDは、低環境負荷であるだけでなく、コンパクトで低電圧駆動、長寿命といった特性を持ち、水銀ランプに代わる次世代の光源として高い注目を集めている。


コリメート

拡散する光を直進性の高い光に変えること。


光取出し効率

半導体内の活性層で発光した光のうちでLED外部へ有効に取り出された光の割合。現在、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)系深紫外LEDの高効率化・高出力化を阻んでいる要因の一つが、極めて低い光取出し効率の問題である。


位相型フレネルゾーンプレート構造

同心円状の輪体によって構成され、各位置での光の位相を制御することで、光の集光やコリメート等を行う機能を持つ。深紫外波長領域で実現するためには、ナノオーダーの高精度な微細加工技術が必要となる。


窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)

窒化アルミニウム(AlN)と窒化ガリウム(GaN)の混晶材料。直接遷移型の窒化物半導体であり、AlNとGaNの混晶組成比を変えることで、その発光波長を深紫外領域のほぼ全域(210~365 nm)で任意に制御することが可能である。 深紫外LEDを実現する上で、現在のところ最も適した材料であると考えられており、主にMOCVD法(有機金属気相成長法: Metal Organic Chemical Vapor Deposition)と呼ばれる結晶成長方法により製膜される。

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