複雑な形をした立体を自動で折る技術を開発したと、東京大などの研究チームが発表した。熱で縮む素材のシートに展開図を印刷して加熱する手法で、幅広い産業で応用が期待できるという。論文が国際科学誌に掲載された。
折り紙は理論上、一枚のシートからあらゆる多面体を作れることがわかっている。運搬や保管がしやすいため、医学や宇宙開発などの分野で活用するための研究が進んでいる。
チームが開発した手法では、立体の展開図を計算ソフトで作成。熱で縮む素材のシートに印刷し、70度以上のお湯につけるなどして加熱する。インクが付いた部分は縮まないので、折り目だけインクが付かないようにする。折り目の幅を0・1ミリ単位で変えることで折る角度も調整できる。
人の手を介さず、素材が変形する力を利用して立体を折る技術は「自己折り」と呼ばれるが、折り目や面の数は最大100程度だった。チームは、紫外線でインクを固める「UVプリンター」が従来より高い解像度で印刷できる特長に着目し、最大で約13万の折り目、約9万の面を持つ多面体まで作れるようにした。チームの鳴海紘也・東大特任講師(デザイン工学)は「衣服や家具などのデザインのほか、手作業が難しい宇宙空間での変形にも活用できる。新しい形のものづくりを提案したい」と話す。
立体折り紙を研究する三谷純・筑波大教授(情報工学)の話「画期的な成果で、従来は立体化が難しかった製品も開発可能になるだろう。アイデア次第で、様々な応用が期待される」
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