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量子コンピューターのビジネス応用に関する国際会議「Q2B23 Tokyo」が2023年7月19、20日に東京で開催された。Q2Bは米シリコンバレーで毎年12月に開催されてきた会議で、東京での開催は昨年に続き2回目。国内だけでなく、海外からもベンダーやユーザー企業、研究者ら450人以上が集った。講演やパネルディスカッションを通じて、量子コンピューターを巡る期待と課題が見えてきた。
産業界は量子コンピューターの活用法について試行錯誤を進めている。Q2B23 Tokyoの基調講演では、内閣府の「量子技術イノベーション会議」の座長などを務める慶応義塾大学の伊藤公平塾長が、産業界の期待や産学が連携した応用研究の現状などについて語った。
「(量子コンピューターの性能指標の1つである)量子ボリュームが数千にまで進めば、量子コンピューターは相当役に立つだろう。2030年ごろを目指して、企業がアプリケーションを通じて量子技術を使えるようにしたい」――。慶応大学の伊藤塾長は、量子コンピューターの実用時期が2030年ごろになるとの予測の下、応用研究を進めているとした。
慶応大学は2018年5月に米IBMと共に「IBM Q ネットワークハブ」を設立し、国内企業と共同でゲート方式の量子コンピューターを使ったアプリケーション開発に取り組んでいる。設立当初は化学メーカーのJSRや三菱ケミカル、三菱UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループの4社が参画した。
現在、参画企業は9社に増えている。企業はこの取り組みの中で、IBMの実機を使いながら量子コンピューター用アルゴリズムの開発を続けてきた。現時点の量子コンピューターは、実用的な問題を解くという点では現行方式のコンピューター(古典コンピューター)に及ばない。しかし伊藤塾長は「この5年間で量子コンピューターの成長のスピードを体感してきた」と話す。
2018年に量子コンピューターを使い始めた当初は、1量子ビットによる1ステップの計算すら実行できず、「何もできない。これでは一体、何のために(量子コンピューターを検証するようIBMに)誘われたのか」(伊藤塾長)と思うような状態だったという。
ところが「それから2カ月すると1量子ビットで2ステップの計算ができるようになり、その後も2カ月ごとに新しい進展があった」(同)。こうした「産まれたばかりで何もできない赤ちゃんが、急に声を出して話し始めるような成長」(同)を間近で見てきたからこそ、これからの量子コンピューターの発展についても楽観的だというのが伊藤塾長のスタンスだ。今後も研究開発を進め、「キラーアプリケーションが何かはいまだ不明だが、まずは事例を作る」(同)とした。
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