中国の深セン市人民代表大会常務委員会は9月5日に、「深セン経済特区人工知能産業促進条例」(以下、条例)を発表。全国初の人工知能産業分野に特化した法規の立法となった。2022年11月1日から施行される。
人工知能製品・サービスの導入、応用を積極推進
条例では、市内の政府機関などに対し積極的に人工知能(AI)を用いた製品・サービスの利用を促すほか、人工知能の教育・介護・医療分野などの民生サービス部門における応用を支援するとしている。また、市の産業主管部門は、定期的に人工知能に対するニーズがある応用場面をリスト化して発表するほか、応用に向けた方策を公開募集。国内外のハイエンドな人工知能製品・サービスの提供事業者などを誘致する旨も盛り込まれた。
さらに、このような新たな人工知能製品・サービスの導入や応用を進めるに当たり、中央または地方政府が標準を未制定の場合についての対応も明記。先進的な国際標準または規範に符合した低リスクの製品・サービスであれば、試験実施、試行などの方法で先行導入・応用を進めることを許可するとした。
研究開発に関しては、高等教育機関、科学研究機関、企業による連携や、長期的な基礎研究を支援する方針を明確化。また、コア技術の研究開発に関しても、市場ニーズに基づいたかたちで、政府、産業、教育機関、研究機関が深く融合した研究開発メカニズムの構築することを支持するとしたほか、主要なコア技術をカバーする政策支援システムを構築する旨が示された。
このほか、高等教育機関、研究機関、企業などが人工知能によるコンピューティング資源プラットフォームなどを構築することを奨励。そのうえで、「中国国家深センスーパーコンピューティングセンター」(注)などを活用することで、企業の開発コストの削減、開発期間の短縮化を図るとした。
(注)2009年に科学技術部による批准を受けて成立し、2011年11月に運営を開始。中国内に建設された8つの国家級スーパーコンピューティングセンターの1つ(2022年9月時点)。社会向けの高性能な計算サービス、クラウドコンピューティングサービスなどのビジネスサービスを提供する。
(梁梓園)
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