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タンパク質の構造ゆらぎに注目することでタンパク質と薬の結合親和性を評価する新手法を確立-創薬研究への応用に期待-:[慶應義塾] - Keio University

慶應義塾大学大学院理工学研究科の安田一希(修士課程2年)、遠藤克浩(研究当時博士課程2年)、平野秀典特任准教授、同大学理工学部の山本詠士専任講師、および泰岡顕治教授の研究グループは、機械学習によりタンパク質の構造ゆらぎから薬(リガンド)とタンパク質の結合親和性を予測する新規手法を提案しました。


近年、コンピュータシミュレーションによるリガンドの結合親和性を予測する研究が盛んに行われています。しかし、従来の手法は長時間かつ多くの計算資源を必要とします。本研究では、短時間の分子動力学シミュレーションとディープラーニングを含む機械学習手法を組み合わせることで、少ない計算資源でリガンドの結合親和性を評価することに成功しました。


本研究では、タンパク質の“構造ゆらぎ”に注目しました。タンパク質は柔らかい物質であり、細胞内では水やイオンなど様々な分子との相互作用により、構造はゆらいでいます。この構造のゆらぎは結合しているリガンドにも大きく影響されます。そこで本研究グループは、タンパク質とリガンドの親和性に関する“情報”が、リガンド結合によるタンパク質構造のゆらぎの変化に表れているのではないかと考えました。これを検証するために、結合親和性が異なるリガンドと結合した状態のタンパク質について複数の分子動力学シミュレーションを行い、タンパク質構造のゆらぎ情報を取得し、機械学習手法によりゆらぎの特徴付けを行いました。その結果、タンパク質の構造ゆらぎの特徴とリガンドの親和性に強い相関が見られることを明らかにしました。本研究の成果は、効率的なリガンドの親和性評価手法となる可能性があるため、今後の創薬研究への貢献が期待されます。


本研究成果は、2022年5月19日に国際誌「Communications Biology」に掲載されました。

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