
怪談社は、糸柳寿昭氏と上間月貴氏の両名を中心に怪談実話を蒐集し、トークイベントや書籍の刊行を行う団体だ。その二人が全国各地の忌み地、いわくつき物件を中心に取材。その情報を作家・福澤徹三氏が書き起こしたのが、怪談実話集『忌み地』『忌み地 弐』(講談社文庫)である。同書から選りすぐりの怪談実話をお届けする。 【写真】閲覧注意…『進撃の巨人』の元ネタになったとも言われる衝撃事件
心霊ビデオ
その日の午後、上間は上野公園で取材をしていた。 特に対象は決まっておらず、ひまそうな人物に声をかける。飛び込みで民家を訪ねるときとちがって、ストレートに怪談実話を集めているのを明かす。 それだけでは不審に思われるので怪談社の資料を見せるが、知っているというひとはまれだ。しかしその日は四十代なかばの男性に声をかけると、 「怪談社、知ってますよ」 笑顔でそういった。 「ぼく怪談が大好きなんで、本も読みました」 上間は礼をいってから本題に入って、 「ご自分で体験されたことはないですか」 「あります。二〇〇〇年代のはじめ頃、あちこちの心霊スポットにいってまして」 当時はレンタルビデオ店で、ドキュメンタリー風の心霊ビデオが人気があった。 一般から投稿された映像や取材した映像といった触れ込みだが、実際に投稿された映像はすくなくフェイクも多かった。 「あの頃はぜんぶ本物だと思ってましたから、自分でも撮ってやろうと思って──」 ビデオカメラを持って心霊スポットや廃墟にいった。 撮影した映像を自宅で入念にチェックする。けれども心霊らしきものは映っていない。ときおり現地で不可解な声を聞いたが、なぜか録音されていない。 崩れかけた廃墟で怪我をしたり、山や草むらで虫に刺されたり、警察に通報されて廃屋の二階から飛びおりたり、さんざんな目に遭った。
帰ったはずの友人が…
ある日、アパートの部屋に友人の男性が遊びにきて、ふたりで酒を吞んだ。 そのとき心霊スポットの映像を見せると、 「おまえ、こんなところに、よくひとりでいけるな」 友人は妙に感心した。 夜が更けた頃、酔いのせいもあって眠くなった。床に寝転がってうとうとしていたら、友人が肩を揺すって、 「なあ、また心霊スポットのビデオ観せて」 彼は寝ぼけ眼をこすって、さっきとはべつの映像を再生した。 それを観はじめた友人の後ろでまた横になると、携帯が点滅していた。 携帯を見たらメールがきていて、 ──きょうはありがとう。あした早いから帰るわ── メールを送ってきたのは、いまビデオを観ている友人だった。 彼は驚いて軀を起こした。背後から友人を見つめたら、あきらかに体型がちがう。となると、いまビデオを観ているのは誰なのか。その誰かはなにがおもしろいのか、ビデオを観ながらくすくす笑っている。 彼は足音を忍ばせて玄関にいき、靴を履くなり部屋を飛びだした。 そのままコンビニや公園で時間を潰し、空が明るくなってきた頃、アパートにもどった。恐る恐る部屋に入ると、さっきの「誰か」はいなくなっていた。 けれどもビデオデッキには「誰か」が観ていたビデオが入っていた。 それ以来、心霊スポットのビデオをすべて処分し、映像を撮りにいくのもやめた。 「もうビデオは厭だから、いまは怪談本を読むだけにしてます」 彼はそういって笑った。
福澤 徹三(小説家)/糸柳 寿昭(実話怪談師)
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November 21, 2020 at 09:01AM
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心霊ビデオ撮影にハマった男性、夜のアパートで彼を襲った「忌まわしき事件」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
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