資生堂は、山形県で伝統的に生産されている紅花の品種である「もがみべにばな」から抽出したエキスが、血管内皮細胞同士の接着を担うVE-カドヘリンに働きかけ、毛細血管の構造を安定化する効果を発見しました。血管の構造は、壁細胞の接着、血管内皮細胞同士の接着の主に二つの要素によって安定化されています。当社はこれまでに、血管内皮細胞と血管壁細胞の接着を安定化する効果を持つ成分について見出していました。※1今回の発見により、内皮細胞同士の接着も促し、より毛細血管の構造を安定に導く可能性を発見したことになります。同研究成果は、血管に着目した、シミ・くすみ、しわ、たるみといったエイジング悩みにアプローチするソリューションへと応用していきます。
《研究背景》
同社は肌本来の美しさを引き出すには体内との関わりが大切であると考え、血管、リンパ管、神経、免疫など、皮ふと全身との関わりを踏まえたホリスティックな視点での皮膚科学研究にいち早く取り組んできました。特に血管については、独自の血管観察技術を開発・活用しながら、血管の状態とシミ、しわ、たるみなど多くの肌状態との関連を明らかにしてきました。血管の構造は、壁細胞の接着、血管内皮細胞同士の接着の主に二つの要素によって安定化されています。同社はこれまでに、血管内皮細胞と血管壁細胞の接着を安定化する効果を持つ成分について見出していました。
さらに、同社は紅花について30年以上にわたり着目しており、血流を促す効果が知られているアデノシンが紅花に含まれていることも確認しています。今回、日本をオリジンとする同社としての視点、また過去の研究から紅花が血流に関係するというサイエンスの視点から、日本産の紅花である、山形県で生産される「もがみべにばな」から抽出したエキス(以降、「べにばな」から抽出したエキス)に新たに着目しました。血管と美容との関係が大きく注目される中、本研究では「べにばな」から抽出したエキスが血管にもたらす影響について調べることにしました。
《「べにばな」から抽出したエキスの毛細血管に対する機能確認》
毛細血管は、血管内皮細胞とそれを覆う壁細胞の二層構造になっています。毛細血管の構造には、内皮細胞と壁細胞の接着に加えて、血管の内側を形成する血管内皮細胞同士の接着が重要です。そこで、血管内皮細胞を培養し「べにばな」から抽出したエキスを添加し、血管内皮細胞同士の接着を担うVE-カドヘリンの発現の様子を観察しました。その結果、「べにばな」から抽出したエキスの添加により、細胞同士の接着部位にVE-カドヘリンが密に集まることが確認できました(図2)。更に、VE-カドヘリンの発現量を確認したところ、「べにばな」から抽出したエキス添加により上昇していることもわかりました(図3)。これらの結果より、「べにばな」から抽出したエキスが、血管内皮細胞同士の接着を担うVE-カドヘリンに働きかけ、血管構造の安定化に寄与していることが示唆されました。
《今後の展望》
今回、同社が山形の紅花に着目して開発された「べにばな」から抽出したエキスには、同社が先進的に研究に取り組んでいる血管に対して効果があることを見出しました。この知見を、血管の状態や血流に着目したソリューションへと応用し、シミ・くすみ、しわ、たるみといったエイジング悩みにアプローチしていきます。
株式会社資生堂 2023年11月24日発表
株式会社資生堂 公式HP
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