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変形し山登りもできる月面探査ロボ、実は「トランスフォーマー」のおもちゃ技術を応用 - 読売新聞オンライン

 宇宙新興企業「アイスペース」(東京)の月着陸船が11日、米フロリダ州から打ち上げられ、月に向けて飛行を開始した。来年4月末頃、月の北半球にあるクレーターに着陸を予定しており、成功すれば民間企業として世界初となる。

 アイスペースの月着陸船には、月面探査車やカメラなど七つの積み荷が搭載されている。このうち玩具メーカー「タカラトミー」(東京)などが開発した月面探査ロボットは、変形したり急斜面を登ったりでき、日本が誇るおもちゃ技術の粋が盛り込まれている。

 ロボットの名前は「 SORA―Qソラキュー 」。同社や宇宙航空研究開発機構( JAXAジャクサ )などが開発した。重さは250グラムで、着陸時には直径8センチの球体だ。

 移動時には球体が半分に割れるように開き、前後2台のカメラや、姿勢を安定させる部品が飛び出す。複雑な構造を小さく格納する技術は、乗り物からロボットに変形する同社の「トランスフォーマー」から応用したものだ。

 ソラキューは、月面の細かい砂の上でも空回りせず、傾斜30度までの斜面を登ることができる。左右の車輪を交互に動かして砂をかきわけながら進む動きが特徴的だ。開発が始まった2019年春当時、同社研究開発部長を務めていた渡辺公貴・同志社大教授が、ゼンマイ式のアヒルのおもちゃを見て、「この動きは月面でも使える」と着想したという。

 着陸船が月面に無事到着すれば、ソラキューは内蔵の電池が切れるまでの間、月面の写真を撮影して地球に送るという。得られたデータはJAXAが今後の月面探査の際に生かす計画だ。

 同社の大井崇司・企画開発課長は「おもちゃ技術を使って宇宙開発のわくわく感を多くの人に伝えたい」としている。

 着陸船にはほかに、アラブ首長国連邦(UAE)の探査車や、日本特殊陶業(愛知)の固体電池、出資者のネームプレートなどが搭載される。

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