東北大大学院生命科学研究科の筒井健一郎教授(脳科学)の研究グループはサルの脳活動を磁気刺激で操作し、人為的にうつ病を発症させることに世界で初めて成功したと神経科学の国際学術誌で発表した。サルの脳は構造や機能が人間の脳に近く、うつ病の予防や治療法の開発への応用が期待される。
脳前部にある前頭葉の内側面(内側前頭皮質)は情動や社会性、意欲の制御に関与し、うつ病患者では、その腹側部に機能異常が生じていることが指摘されている。
研究グループは健常なサルの内側前頭皮質の腹側部に、電流による磁気刺激を頭蓋の外側から1日20分、4日間与え、腹側部に一時的な機能障害を起こした。
磁気刺激を受けたサルは下を向いてじっと座ったり横たわったりと、活発な行動が大きく減った。血中のストレスホルモン濃度が著しく上昇し、簡単な課題はこなすが難しい課題はすぐやめてしまう意欲の低下など、人間のうつ病患者と同様の症状を示した。
このサルに即効性の抗うつ薬を投与すると、症状が顕著に改善した。症状は腹側部以外の背側部や後方部への刺激では見られなかった。研究グループは腹側部の機能不全は気分や情動の調節を阻害し、うつ病につながると結論づけた。
筒井教授は「新薬実験にはラットが使われるが、人間と脳の構造が大きく異なり、効果の判定が難しい。人間と同じ霊長類で脳の共通性が高いサルのうつ病モデルは予防策や治療法の開発、新薬候補の評価に大きく寄与する」と話す。
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